こんにちは。
白髪老師のサバ男です。
外国人に日本語を教えています。
スピードラーニングという英語教材を知っていますか?
聞き流すだけで英語がペラペラになるというCMで有名になりました。
このCMはプロゴルファーの石川遼選手が出演していましたね。
いろんな雑誌にも広告が出ていて結構人気だったはずですが、実は2021年8月いっぱいで販売休止になっています。
聞き流すだけではCMほど効果が感じられず、ユーザーからの支持が減っていったのでしょう。
そこで、スピードラーニングは本当に効果のない嘘っぱち教材だったのか、考えてみたいと思います。
スピードラーニングとは
おそらく日本人のほとんどがその名前を知っていたであろう、スピードラーニング。
どんな教材だったのでしょうか。
スピードラーニングは30年ものロングセラー商品
スピードラーニングは株式会社エスプリラインが発売していた英語学習教材です。
シャワーのように英語を聞き流すことで、英語が話せるようになるという宣伝効果もあって、一世を風靡しました。
1989年の発売ですから、実に30年に渡るロングセラー商品でした。
残念ながら、2022年1月現在は販売を休止、株式会社エスプリラインのサイトも以下のようなページが表示されるだけとなっています。
現在はカリキュラムの詳細を見ることはできませんが、ファンの多かった教材ですから、ユーザーさんがブログなどで感想を多く挙げています。
それらの内容からわかったことはこちら。
・毎月1巻分のCDが2枚(英語→日本語、英語のみ)送られてきて、4年で終了
・英語と日本語の対訳テキストが同封
・収録内容はネイティブスピーカーの会話
どうやら練習などはなく、本当に聞き流すだけの内容だったようです。
スピードラーニングを使った勉強方法
スピードラーニングは聞き流す教材ですから、徹底的にリスニングを行うことが勉強方法となります。
まず、英語の音声が流れてきて、それが終わると日本語訳の音声が流れてきます。
そのあと、再度同じ英語の音声が流れます。
英語→日本語→英語で一つの組み合わせということでした。
となると、進め方はこんな感じだったと思います。
↓
それから日本語訳を聞いて、イメージと合っているか確認。
↓
全然わからなかった場合は、意味を把握する。
↓
再度、英語音声を聞いて最終的に英文の意味を理解する。
このように英文を聞いて、その内容を理解できるようになることを目的とする教材と言えるでしょう。
英語を聞き流す「だけ」では英会話力の向上は難しかったでしょうね
CDの内容では、英語の後に日本語が流れて、それで英文の意味するところを把握するようになっていたようです。
つまり、ひたすら耳から音声による英語を聞き流してインプットするカリキュラム。
アウトプットの練習などはありません。
さすがにこれでは話すようになるのはむずかしいでしょう。
いくら英文を聞いたとしても、それがどんな意味なのかを脳が理解しないと覚えられません。
英語での会話が耳に入ってくる「だけ」です。
まずは英文の意味を理解し、その英文で使われている表現でアウトプットの練習を行わなければいけません。
ちょっと前にTVで、運動神経のいい悪いはないんだというのをやっていました。
一般に運動神経がいいと思われている人は、自分のイメージ通りに身体を動かせる人で、そのためには反復練習しかないとのことでした。
生まれ持った才能は、実はあまり関係ないらしいです。
語学もまったく同じだと思います。
しっかり自分で英文を作り出す練習と、口から発音する練習を繰り返し行うことで初めて使えるようになります。
実際、外国人が日本語を覚える時もそのような方法です。
日本語レッスンでは短い文を使って学習対象の表現を説明します。
これが導入です。
それから、学習表現をつかってリピート練習や語句を入れ替えた代入練習を行います。
練習の後で、実際に使用する状況を使って会話練習を行う定着の確認を行います。
導入→練習→定着の確認。
これを学習項目ごとに繰り返していきます。
いくら表現の意味が頭の中で理解できても、日本語独特の文法や構文を頭の中で組み立てて、口から意味のある文を作る練習が必要です。
インプットももちろん大事ですが、アウトプットのほうがより重要です。
スピードラーニングを日本語レッスンにあてはめると、英語の会話を聞き流すだけなのですから、導入の一部だけしか該当しないことがわかります。
それも文全体で理解しろということですから、導入自体も十分ではなかったでしょう。
さらにアウトプットとなる、練習も定着の確認もありません。
聞き流すだけでは英会話力の強化はできず、話せるようにはならないのです。
スピードラーニングは使い方を工夫すれば良教材
それではスピードラーニングはダメ教材かというと、必ずしもそんなことはなかったと思います。
スピードラーニングの特徴は、ネイティブの会話文が収録されていることです。
1枚のCDで数十分ですから、かなりの量の会話文です。
英文のインプットとしては十分な量でしょう。
これを何度も何度も、覚えてしまうくらいにリピート練習するのです。
英文を聞いて、それと全く同じように復唱するのです。
この繰り返し。
文が長いようなら、シャドーイングという方法もあります。
シャドーイングは音声を聞いた後、即座に復唱することです。
影のようについていくことからシャドーイングと言われています。
簡単そうに思えますが、話す英文の意味がわかっていないと口が回りません。
日本語レッスンでも時々行いますが、どんな内容の文なのかがわかっていないとやっぱり難しいようです。
逆にいえば、リピート練習にしろシャドーイングにしろ、うまく復唱することができたら、ある程度の英文理解はできているとも言えます。
でも、インプットの教材でできるのはここまでです。
スピードラーニングはアウトプットの練習もあればよかったのに
スピードラーニングは、工夫次第では練習用としても使える教材だったのですが、聞き流すという宣伝文句に縛られたのでしょうか、うまく活用法をユーザーに提示できなかったのかもしれません。
別売りでもいいので、アウトプットの教材も提供していればよかったのにと思います。
各課で勉強した英文を使って、主語や目的語、否定形や過去形などに入れ替えさせる練習や、会話する状況を作って簡単なロールプレイをやってもらうような内容です。
せっかく膨大な量の英文を作ったのだから、それを活かす教材があればまだまだ人気は続いたでしょうに、残念ですね。
まとめ
よくおすすめ英語教材とか、雑誌で特集が組まれます。
スピードラーニングは名指しこそされないものの、CMでの宣伝文句が嘘っぱちの効果のないワースト教材としてよく名前があげられていました。
理由はこれまで書いてきたとおり、聞き流すだけでは絶対に英語を話せるようにはならないからです。
ただ、使い方次第ではそれなりに効果はあったと思っています。
アウトプット用に姉妹教材でも発売していれば、また結果は違ったかもしれません。
スピードラーニングほどではありませんが、現在でも聞くだけで英語力がアップするとかの教材や書籍を目にすることがあります。
すべて否定する必要はありませんが、やはりインプットの教材と認識する必要があります。
もしそういった教材を購入するのなら、アウトプットも意識して使用してくださいね。
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