こんにちは。
白髪老師のサバ男です。
外国人に日本語を教えています。
みなさんはCEFR(セファール)という言葉を見たり聞いたりしたことはありますか?
CEFRは今や外国語を勉強するときになくてはならないものになっています。
これからおはなししていきますね。
CEFR(セファール)とは
CEFRとは”Common European Framework Reference for Languages”の頭文字を取ったもので、「ヨーロッパ言語共通参照枠」などと訳されています。
その名の通りヨーロッパで生まれた概念で、EU域内の各言語でばらばらだった外国語の教育目標と評価基準を統一したものです。
いわばヨーロッパ共通の外国語学習指導要領です。
基本理念① 複言語主義
20世紀末、ヨーロッパの国々は加盟国が一丸となって行動する経済同盟のEUを発足させました。
ヨーロッパと一口に言っても、2021年現在ではEUには27か国も加盟しています。
すべてではありませんが、加盟国の公用語がそのままEUの公用語になっています。
例えば、フランス語やドイツ語はもちろん、ポーランド語やギリシャ語なんかも公用語です。
EUでは特定の言語を優遇するのではなく、ヨーロッパで使われているすべての言語を平等に扱っているんですね。
これを複言語主義といい、CEFRの基本理念の一つです。
そうなると、EU各国の外国語教育も共通の物差しを作る必要がでてきます。
(あるかどうか知りませんが)ドイツで行われているフランス語検定2級と、イタリアで行われているフランス語検定2級のレベルが違ってしまうと、フランスの会社はどの国の人を採用すればいいか、わかりませんよね。
そこで、EU域内の外国語教育の教育目標と評価基準を統一する目的で作ったのが、CEFRというわけです。
地球上の言語は英語一強になっていますから、それをなんとかしようという思いもあったようです。
基本理念② 行動中心の考え方
CEFRの基本理念は複言語主義ともう一つ、行動中心の考え方というのがあります。
行動中心の考え方は、言語学習の目的はコミュニケーションを取ることだというものです。
いくら外国語を勉強しても、相手との意思疎通ができなければ意味がないということですね。
そこで、人が生きていくうえで当然遭遇するだろう事柄について「○○ができる」という表現をまとめています。
これをレベル毎にまとめたものが「Can-Do Statements」と呼ばれるものです。
一般にCEFRと言うと、こちらをイメージすることが多いようです。
CEFRを外国語学習へどうやって使うか
一般にCEFRを使う外国語学習では、レベル毎に何々ができるというCan-Do Statements を作成します。
CEFRにはA1からC2までの6つのレベルがあります。
Aから初心者・中級者・上級者という感じです。
具体的にどんな内容かは以下の表の通りです。
文部科学省のサイトに掲載されている英語教育についての資料から抜粋しています。
出典:文部科学省(平成30年3月) 各資格・検定試験とCEFRとの対照表
CEFRはあくまでもものさしですから、具体的にどんな行動がとれればA1クリアとかは、これを利用する人が決めることになります。
例えばA1には「よく使われる日常的表現と基本的な言い回しは理解し、用いることができる。」とあります。
日常的表現の最たるものは、あいさつでしょう。
ところが、一口にあいさつといってもいろんなパターンがあります。
社会人で一番使うあいさつは、日本では「おつかれさま」でしょう。
「こんにちは」の意味でも「さようなら」の意味でも使います。
ですからビジネス日本語のテキストには、必ず「おつかれさま」は掲載されています。
ところが、留学生向けのテキストにはあまり掲載されていません。
やっぱり使う頻度が高くないからですね。
CEFRの基本理念の行動中心の考え方では、学習した言語が実際に使えるか否かが重要です。
ですから、その場で使うのにふさわしい表現を勉強していってくださいね、というのがCEFRからのメッセージとなります。
このCEFRの考え方は、現在では広く支持されていて、事実上の世界標準と言っていいと思います。
海外で発売されている語学のテキストには大体CEFRのレベルが掲載されていますし、日本語教育もCEFRに準拠しています。
NHKの英語番組でもずいぶん前からCEFRのレベル分けに基づいて放送していますね。
これからの外国語学習は、ますますCEFRの考えに基づいたカリキュラムで進んでいくことになると思います。
外国語の学習は長い歴史があります。
現在CEFRがこれだけ広まったのは、その歴史の積み重ねをブラッシュアップしてきた結果だからなのだと思います
21世紀の現在、ベストプラクティスと言えるものです。
日本人が英語を勉強するときも、当然あてはまります。
日本人は少なくとも義務教育では英語を勉強していますから、最低限の英語の知識はあるはずです。
英語の習得状況は人それぞれですから、自分の現在位置をしっかり把握しておくことが大事です。
例えば、外国人に道を尋ねられても十分に説明できなければCEFRのA1レベルでしょう。
そういう人は、背伸びしてB1レベルの教材を使っても挫折の可能性が高いです。
無理しないでA1レベルから始めた方が、結果的には実力をあげることができるものです。
まずは一歩ずつ、確実にステップアップを目指す。
そのためのものさしとして、CEFRを意識した外国語学習が有効なのです。
まとめ
今回は、CEFRについて取り上げてみました。
現在の外国語学習の目的は、コミュニケーションを達成することです。
闇雲に単語や文法を覚えるよりも、まずは使えるかどうかの方が大事です。
外国語を使えるようになるためには、現在の自分の実力と現実的な学習目標を設定することです。
そのためには、CEFRはとても有効なものさしです。
外国語学習の道しるべとして、CEFRを意識するようにしてくださいね。
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