こんにちは。
白髪老師のサバ男です。
外国人に日本語を教えています。
楽天で英会話教材を検索してみると、上位に表示されるのが「英語マスターズクラブ」の教材群。
その中でも、人気No.1として紹介されているのがリスニングパワーです。
レビュー数も2022年4月現在で、1900件超とダントツの多さです。
売上数も58000個を突破しているようで、そこそこの人気がうかがえます。
宣伝コピーも上手です。
リスニングパワーを開発したスコットペリーという人は、有名芸能人をハリウッドスターに変えた実力の持ち主とのこと。
30日間で英語耳になるということで、興味を持たずにはいられません。
ところが、ネットで「リスニングパワー」を検索すると効果なしという言葉が表示されてしまいます。
いくら教え方がうまい人が開発した内容だとしても、必ずしもそのプログラムが製品に落とし込まれているとは限りません。
外国語習得にはそれなりのセオリーがあり、そのセオリーに則る方が効果的です。
私も日本語教師のはしくれですから、外国語習得の方法について知識も経験もあります。
その観点から、はたしてリスニングパワーが信頼に足る教材なのか、ネットの評判通り効果がないのか、私なりに考察してみました。
リスニングパワーは英会話教材の中ではそれほど高価ではありませんが、決して安い金額でもありません。
リスニングパワーを検討されている方は、ぜひご覧ください。
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販売業者 | 株式会社チカラインターナショナル |
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運営責任者 | 横田 力 |
所在地 | 〒151-0053 東京都渋谷区代々木1-18-16 RES代々木ビル3階 |
電話番号 | 03-6300-0619 |
メール | info@chikarainternational.com |
リスニングパワーの特長
商品サイトによると、リスニングパワーは発音矯正の世界的権威であるスコットペリー氏の、25年間にわたる日本人向け発音矯正のノウハウを元に開発された製品とのことです。
どうやら英語が苦もなく聞き取れるようになるようですね。
スコットペリー氏の実績
スコットペリー氏は、「47Ronin」という忠臣蔵をベースにしたハリウッド映画に出演した日本人有名女優を指導した実績の持ち主だそうです。
あえて名前を出していないのは、契約上の問題でしょうか。
同映画の出演キャストを見ると、たしかにかなりの大物女優さんですね。
他にもハリウッド進出を狙っている俳優さんの英語指導を何人かされているようです。
外国語習得の12歳の壁を取り払うことに成功
外国語習得には年齢が若いほど有利なのは確か。
日本語のレッスンでも一家で日本に移住してきた人は、大体親よりも子供のほうが日本語を覚えるのは早いです。
リスニングパワーの説明によると、12歳までに言語の適応能力が完成されるため、これ以後は外国語習得には母語の影響を強く受けることになります。
日本人の場合は、英語の音を聞いてもカタカナ英語になってしまうらしいです。
リスニングパワーではこれを「壁」と表現していて、この壁を取り払うことに成功したそうです。
その理由は、日本語と英語の間には周波数の違いがあり、日本人学習者がこの違いを克服できるプログラムになっているからとのこと。
英文をネイティブスピーカーが読んでいる間に、バックグラウンドにいろんな周波数の音が流れることでこれを可能にしているようです。
30日間聞き続けるだけで英語耳に変身するらしいので、本当なら画期的な製品と言えるでしょう。
リスニングパワーの効果はあるのか
リスニングパワーはCD2枚の構成です。
CD1が58分95秒(59分35秒?)、CD2が51分33秒の音声が収録されています。
結論から言うと、効果はあまり見込めないと考えます。
理由としては以下の通りです。
学習法が不明
商品サイトの説明によると、30日間繰り返し聞くだけで英語耳になれるそうです。
となると、CD2枚分を毎日2時間近く聞かなければならなくなります。
ところが、商品サイトでは1日20分で大丈夫と説明があります。
内容以前に、どうやってやればいいのかよくわかりません。
単純計算で、1日20分だったら2枚聞き終わるまで6日間必要になります。
30日なら5回の繰り返しで英語耳になれるということでしょうか。
CDの学習内容は商品サイトに記載されていますが、これらを5回繰り返すだけで英語耳になれるとは、にわかには信じがたいものがあります。
周波数理論はまだ未確定の分野
そもそも、リスニングパワーの理論的なバックボーンである周波数の違いですが、少なくとも日本語教育の現場では使われていません。
外国語習得で研究がいくつか進められているのは事実ですが、はっきりと確定したものがあるとは少なくとも私は知りません。
周波数の違いで苦労するのなら、英語を母語とする人も日本語の発音を苦手とするはずです。
ところが多くの場合、そんなことはありません。
日本語話者が英語を発音するより、英語話者が日本語を発音するほうがはるかに簡単です。
理由は日本語の母音の数が圧倒的に少ないから。
逆に言えば、日本人が英語で苦労するのは母音の数の多さによるものと説明できます。
日本語教師の私からすると、ちょっと効果には疑問を持たざるを得ません。
リスニングパワーのメリット
リスニング力の強化を目的としたリスニングパワーのメリットを考えてみました。
購入特典が豪華
リスニングパワーには本体のほかにいくつかの特典が付属しています。
私がいいと思ったのは、「ボキャパワー」という特典。
リスニングパワーで使われている843語の単語のリスニング力を強化するもの。
どんなにリスニング力を強化しても語彙力がないと意味を理解することはできません。
音声と語彙をリンクさせることができるのなら、効果的な内容だと思います。
TOEICの成績アップが期待できる
製品名はリスニングパワーですが、商品サイトに掲載されているスコットペリー氏のメッセージには「listening power TOEIC」という表現があります。
おそらく、TOEICのリスニング対策の製品として企画されたのだと思います。
購入者の製品レビューでもTOEICのスコアがアップしたというのもありますし、TOEICの受験を考えている人には試してみる価値はあるのではないでしょうか。
リスニングパワーのデメリット
残念ながらデメリットもあります。
発音に効果があるのか不明
商品サイトでは、「英語が聞き取れるようになり、発音をよくするために開発」した商品との説明があります。
真偽はともかく、リスニングに効果があるとの説明はあるのですが、どうやって発音がよくなるのかは特に記述はありません。
どのレッスンをどのくらいやればいいのかわからない
リスニングパワーはCD2枚で構成されています。
よくある教材では、1課あたりに10分などの等しい時間が割り当てられていて、1日どのくらいやれば効果がでるという説明があります。
リスニングパワーのCDは、よく言えばバラエティーに富み、悪く言えば雑多に取り込んだだけの内容です。
何をどれくらいやればいいのか、商品サイトの内容からは読み取れません。
1日20分という説明はありますが、どの部分を20分なのか、どうすれば効果があるのかはちょっと読み取れないですね。
リスニングパワーを外国人向け日本語教育にあてはめてみると
外国人が日本語を勉強する場合、多くの人は日本語学校に通います。
日本語学校で勉強すると、比較的短期間で日本語が話せるようになります。
多くの日本語学校が行っている初級者向けのレッスンは以下のような流れ。
日本語レッスンでは短い文を使って学習対象の表現を説明します。
これが導入です。
それから、学習表現をつかってリピート練習や語句を入れ替えた代入練習を行います。
練習の後で、実際に使用する状況を使って会話練習を行う定着の確認を行います。
導入→練習→定着の確認。
これを学習項目ごとに繰り返していきます。
リスニングパワーはリスニング力の向上を目的にしていますから、ピンポイントの内容。
しいて言えば、導入のところでしょうか。
これだけでは当然足りません。
あくまでも、他の学習教材の副教材的な位置づけにするべきでしょう。
リスニングパワーの口コミ
口コミは良いものも悪いものも、結構な件数をみつけることができます。
良い口コミ
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リスニングパワーを聞き始めて2週間ほどですが、内容はアルファベットの実際の発音、L,Rの発音に違い、カタカナ英語発音とネイティブ発音の違い、会話、特殊音など様々な音源がありますが、毎日5分程度ランバムに聞くだけなので毎日継続できていいます。今までにない耳トレで期待が持てますし実際に英会話がクリアに聞こえるようになってきたと感じています。
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ニュースの英語が分かった。CDが届いた日に1時間VOL.1を聞きました。翌日朝食時にテレビで外国のニュースを見ていたら、聞き取ろうともしていないのに、英語が理解できました。こんな経験は初めてで、信じられませんが、事実です。これからの練習が楽しみです。
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楽しく学べそうです。早速 CD1を聞きましたが、バックグランドの音がSF映画みたいで楽しいです。物覚えの悪い私ですが、このCDは繰り返し聞くのが良いらしいので、私向きだと思います。普通の人が一ヶ月でマスター出来るらしいので、私は二ヶ月を目指して毎日がんばろうと思っています。
悪い口コミ
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このCDを繰り返し聴いたところでリスニング力が上がるとは思えない。やはり楽して英語力を上げることは無理なのだろう。僕はオススメしない。
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音質のクオリティが低すぎる。ノイズが多く耳がおかしくなりそうです。
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箱をあけてがっかり。ペラペラの冊子1冊と装飾なしのクリアケースに2枚のCDが入っているだけ。あきらかに焼き回ししているCD。値段を思うとなおさらがっかり。この手のモノはやっぱり怪しいと思うべきなのですね。
リスニングパワーの評価
残念ながらリスニングパワーへの評価は辛めにせざるを得ません。
リスニングパワーに興味を持った人は、英語が聞き取れないのを悩んでいるはずです。
その解決策として周波数の違いに着目したわけですが、もっと説得力のある説明がほしかったところです。
英語と日本語のそれぞれの発音の違いを周波数で示して、リスニングパワーはそのギャップを埋めることができるんですよ、というのがあればよかったのですが。
半信半疑で進めても、効果をだすのは難しいです。
逆に言えば、信じて教材を使い続けていけば効果はあるかもしれません。
商品のサイトにレッスンの音声の一部を聞くことができるので、自分に合っているか確認してからの購入をおすすめします。
まとめ
リスニング力の向上方法についてはいろんな本が出版されていて、そのほとんどが発音記号から説明されています。
日本語の音声と英語の音声は違うものが多く、音を表現するのに発音記号に頼らざるを得ません。
「日本語の、この音と同じです」と言う説明は難しいのです。
発音記号を使用する語彙の発音を繰り返し聞き、その音を記憶するのが結局は早道だと思います。
この点で、周波数からのアプローチをとっているリスニングパワーの効果には疑問符がつきます。
私からはおすすめできる教材ではありませんが、いくつか特典がついています。
これらに興味があるのなら手に取るのもいいのではないでしょうか。
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うまく英語が話せないとお悩みのあなた。
外国人に日本語を教えてきた私が、外国語教育の観点からお手伝いします。
英語学習教材の良し悪しについてもお気軽にどうぞ。
白髪老師のサバ男でした。
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