こんにちは。
白髪老師のサバ男です。
外国人に日本語を教えています。
日本人永遠の課題の一つが、英語を話すことが苦手なことです。
私も例外ではありませんが、日本語教師をやってその理由がわかった気がします。
これまでの英語学習方法が、英語を話すという目的にあっていなかったからでしょう。
一方で外国人が日本語を学ぶ際、おそらく平均的な日本人が英語を学習するより早く日本語を話せるようになっています。
この差は英語教育の方法と、日本語教育の方法の違いではないかと考えています。
これから説明していきますね。
日本人の英語苦手意識は勉強方法が原因
日本語を母語にしている人にとって英語は外国語です。
ですから、強制的にしても自発的にしても自分から学習していかないと英語は習得することはできません。
でも、なかなか英語がうまくならなくて悩んでいる人は多いです。
中学高校とすでに6年間も英語を勉強しているのに、なぜでしょう。
一方、日本に活躍の場を求める外国人も増えており、コロナが落ちつけばまたたくさんの外国人が来日することでしょう。
そういう日本語を母語としない人向けの日本語教育機関は、日本の学校の英語教育とはちがったアプローチをとっています。
英語教育と日本語教育はなにが違うのでしょうか。
まずは英語教育からみていきましょう。
中高での英語教育について
日本の英語教育には批判されることが多いように思います。
中学高校と6年間も英語を勉強しているのに、ちっとも話せるようにならないじゃないかというものですね。
ただ、それは学校教育における英語の位置づけに起因するはずです。
英語教師のレベルが低いとか、そんなことでは絶対にありません。
一部の私立校をのぞいて、おそらく英語の授業では語彙や文法の習得、英文解釈や英作文など日本語と英語の対比が中心になっているはずです。
それは学校の授業である以上、成績をつけて生徒間の優劣を決めなければならないからでしょう。
中学高校の学習成果を判定する、高校大学の入試問題を見ても明らかです。
例えば、都立高校の入試問題は公表されていますが、令和3年の問題ではほとんどが与えられた選択肢から正解と思われる内容を選ぶもの。
自分の言葉で英文を書く解答は、わすかに文3つを与えられているだけ。
さんざん大騒ぎした大学共通テストも、結局は従来のマークシート方式に落ち着きました。
多数の受験生の解答を短時間でさばくにはやむを得ない方法ではあります。
採点者の裁量が大きいと、採点者のAさんは正解にしても、Bさんは不正解にする可能性がでてきます。
それでは公平な入試とは言えないでしょう。
だから、あらかじめ正解と不正解を提示して選択させるやり方にしておけば、誰がみても同じ判定結果になります。
そして、こういった試験には試験テクニックが入る要素が強くなってしまう。
入試を突破するという前提がある以上、英語教育もここから逃れることはできません。
したがって、6年間の英語の勉強は受験英語の勉強にならざるを得ません。
つまりどれだけ正しい選択肢を選べるようになるかが、中高生の英語の勉強の中心になってしまうのです。
これで英語話せるようにならないといわれても、ちょっと違うんじゃないかと思うわけです。
英語の先生たちも、生徒には英語が話せるようになってほしいと願っているはずです。
でもそこには受験という大きな壁が立ちはだかります。
かといって、受験改革を進めようにも難しい問題が多くあるのはここ数年の動きからも明らか。
こうして誰もが変えなきゃと思っていても、誰も変えられない状況が続いているのだと思います。
日本語教育の進め方について
一方、日本語教育は受験英語のような縛りはありません。
そもそも、日本語は日本国内でしか通用しない言語です。
日本語を勉強したいと思う外国人の人は、日本での留学やビジネスを希望する人が中心になります。
彼らの一番の希望としては、日本人とコミュニケーションがとれるようになること。
ですから、多くの日本語学校のカリキュラムでは、日本語での会話を通した意思疎通ができるように教えられています。
初級レベルであれば、まずは会話ファーストで進められます。
もちろん、宿題や次のレベルにいくための確認テストなどでペーパーテストはありますが、枝葉のレベルです。
あくまでも会話ができるかどうかが大事なんですね。
レッスンでは学習目標を作るのが普通です。
「初対面の人とあいさつができる」「経験について話せる」とかですね。
その目標にふさわしい表現を教えていくことになりますが、目標が達成できるレベルであれば、初級のレベルでは多少の誤用も許容することが多いです。
アクセントの不自然さなどを杓子定規に訂正していたら、学習者の人も疲れてしまいます。
どこかのタイミングで訂正しなければいけませんが、まずは相手とのコミュニケーションが取れるように指導していくことが多いです。
こうして日本語での会話の成功体験を通して日本語にだんだんと慣れていってもらう。
その積み重ねで初級が終わるころには、日常会話にはほとんど苦労しなくなるレベルまで到達しています。
話せるようになるという目標に集中していることがこれを可能にしているのだと思います。
英語の勉強方法を変えてみましょう
これまで見てきたように中学・高校での英語の授業と、日本語学校で教える日本語のレッスンとでは目的が違います。
「6年間勉強しても英語が話せないのだから、日本人は英語の才能がない。」など間違っても思ってはいけません。
逆に6年間の基本があるのですから、それを応用すれば必ず話せるようになるのです。
高校を卒業したら、強制的に英語を勉強させられることはなくなります。
あとは自発的な勉強、つまり英語学習をすることになります(大学も基本的には自発的な学問の場所です)。
受験英語から解放された後は、会話中心の英語学習を始めましょう。
その方法は、日本語教育にヒントがあります。
詳しい日本語教育のレッスン方法は別の記事に譲りますが、多くの日本語初心者が日本語を話せるようになっている事実があります。
日本語初心者の日本語知識よりも、平均的日本人の英語知識のほうがはるかに上です。
受験英語の知識があるからです。
その知識を使わない手はありません。
英語の学習方法に悩んでいる人は多いですが、まずは日本語レッスン方法を参考にするのをお勧めします。
まとめ
日本人が英語の苦手な人が多いのは事実です。
でもそれは、話すという目的から外れた勉強をしてきた人が多いからです。
そこであきらめて挫折してしまう人がなんと多いことか。
まずは英語ができないという思い込みを捨てましょう。
話すことにフォーカスして英語の勉強を進めれば、必ず話せるようになりますから。
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