TOEICで勉強した成果は英検で出しましょう

外国語学習の基礎

こんにちは。

白髪老師のサバ男です。

外国人に日本語を教えています。

英語の資格試験といえば、いまではTOEICの一人勝ち状態。

これは書店にいけば一目瞭然。

どんな小さな本屋さんに行っても、TOEICの対策本は間違いなく置いてあります。

英語に限らず、単独試験としては他の資格試験の参考書などと比べても一番多いのではないでしょうか。

そんなTOEICですが、高得点をとっても必ずしも流暢な英語が話せるとは限らないことが常識になっています。

これはTOEICのテストの特性からしょうがないのですが、かといって役に立たないわけではありません。

私がおすすめする方法は、ある程度の得点をTOEICでとれたら、同じレベルの英検を受験することです。

以下、みてみましょう。

TOEICもJLPTも本質は点取りゲームなんです

TOEICは、いわゆる4技能のうち「書く」「話す」の試験もありますが、一般に知られているのは「聞く」「読む」の能力を判定する試験(TOEIC L&R)です。

これは与えられた情報を処理するインプット能力の試験であって、自分の意志を表に出すアウトプット能力の試験ではありません。

ここから英語が話せない人でも高得点をとれるという評判につながっています。

TOEICとよく似ている日本語能力試験(JLPT)

日本語教師の私から見て、TOEICは日本語能力試験(JLPT)とよく似ていると感じます。

JLPTは、日本語を母語としない人の日本語能力を測定、認定する試験です。

一番難しいN1から一番易しいN5の5段階にわかれています。

どのレベルの試験でも問題文に4つの選択肢が示され、どの肢が正解かを選ぶ方式の試験です。

語彙知識・文法・読解・聴解に分かれて出題されます。

受験者が自ら文を作ったり、会話したりすることはなく、日本語知識がどれだけあるかを問う内容となっています。

なので、出題形式としてはTOEICとほぼ同じです。

この手の問題の特徴は、当たり前ですが正解が「必ず」「一つ」あるということです。

正解がなかったり、複数あったりということは考えなくてもいいということになります。

四つの選択肢のうち、どれか一つが正解とわかればいいのですが、そうでない場合でもふたつに絞れれば正解の確率は50%。

全然わからなくても最低25%の確率で正解できます。

私もよくJLPTの対策の指導を行うことがありますが、このあたりを試験戦略として伝えています。

全問正解する必要はなく、確実にわかる問題を増やしていくことが大事です。

例えば正解する問題数の目標を70%に設定します。

一つに絞れる問題を5割、二つに絞れる問題を3割にできれば、計算上は65%得点できることになります。

残りの2割で5%分得点することは難しくないでしょう。

本来であれば、JLPTの試験範囲の部分を使って会話や作文などで定着具合を確認すべきですが、試験の場合は合格することが目的になります。

不合格になればどんなに勉強しても成果とはなりません。

そのため、JLPT対策の勉強は、点取りゲームの攻略法の趣になります。

このことは受験者も百も承知で、それでも受験するのは合格することにメリットがあるため。

主催者のサイトでもこのあたりは触れられています。

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出典:日本語能力試験:日本語能力試験のメリット

他にも日本企業に就職するときにN2やN1が求められることは多いです。

そんな受験者にとっては、JLPTは目的を達成するための手段でしかありません。

いかに効率よく正解にたどりつけるか、だけが大事です。

TOEICも高得点を目指すための試験です

これはTOEICでも同じだと思います。

グローバル化を進める日本企業。

TOEICで高得点を取らないと就職や昇進ができないとか、よく耳にするようになりました。

英語話者との会話力云々よりも、まずはTOEICの得点力をあげるのが大事。

対策本はすべてこの考えから作られています。

TOEICの勉強には会話力含め、アウトプットの能力をあげる必要はありませんから、高得点者が英語を話せないという批判自体が意味ありません。

もともとそういう試験なのですから。

TOEICでインプットした知識は英検でアウトプットしましょう

だからといって、TOEICの勉強が役にたたないわけではありません。

TOEICは英語の知識がどの程度あるのかを測る試験といえます。

得点が高い人は低い人より英語の知識があるのは当然。

問題はその知識をアウトプットする練習の場がないこと。

そこで活用すべきなのが実用英語技能検定、いわゆる英検です。

アウトプット能力があってはじめて英語力がついたと言えます

英検はみなさんご存知の通り、学生時代には誰もが受験を考える試験。

特に中高生には人気が絶大です。

英検は4技能を測定する試験ですから、「書く」「話す」の勉強も必要になります。

ですから、TOEICで培った英語の知識を英検で確認することで本当の英語力を身につけたと言えると思います。

もちろん、英検といえども試験ですから試験対策が中心になるのはしかたがありません。

それでも、アウトプットの実力も測定する英検に合格すれば、TOEICより評価されるのは間違いないでしょう。

問題は、英検の受験者層が若いこと。

英検の受験者数は公開されていますが、2020年度の受験者総数3,678,161人に対して、小中高の児童・生徒の受験者数は3,236,779人。

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出典:公益財団法人日本英語検定協会 受験の状況

大学生まで含めたらざっと9割が10代という試験になります。

高校卒業程度とレベルが示されている2級を一つの目標にしているからでしょう。

ある程度の年齢に達した社会人が、この環境で初心者レベルの3級を受験するのは、確かに恥ずかしいでしょうね。

TOEICが人気なのも、このあたりが影響しているのではないでしょうか。

そこで目指すべきは英検準1級です。

英検準1級を目指しましょう

準1級は英検のサイトによるとCEFRのB2レベル。

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出典:公益財団法人日本英語検定協会 英検CSEスコアのしくみ

中級者のレベルです。

これなら、社会人が受験しても恥ずかしくないと思います。

ではTOEICのレベルはというと、B2は785点以上となっています。

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出典:一般財団法人国際ビジネスコミュニケーション協会 TOEIC(R) Program各テストスコアとCEFRとの対照表

TOEICで800点くらいとれたら、準1級の実力はあるということになります。

このレベルなら語彙や表現、リスニングも相当の実力になっているはずです。

あとはアウトプットの勉強だけ。

TOEICで満点を目指すのもいいですが、TOEIC800点、英検準1級のほうが評価されやすいと思います。

英検は4技能の試験というのは広く知られているからです。

まずはコツコツとTOEICの勉強をしてみる。

500点・600点と実力を積み重ねて、800点に到達。

それから英検準1級を目指してみる、というのがいいでしょう。

もちろん、700点レベルであえて挑戦するのもありだと思います。

もう一つ、英検の受験をすすめるのが問題にでる場面設定です。

TOEICの場合、出題される状況がビジネスに傾きがちというのがあります。

受験者は社会人が多いので、需要にかなっているともいえますが、実社会はビジネスだけではありません。

アメリカの習慣とか、近所の人との会話とか、バラエティに富んでいた方がいいでしょう。

いろんな場面設定で出題される英検の方が、より実際に近い英語力が試されることになります。

試験の合格という目に見える形の目標ができるのは、勉強の励みになります。

自分の英語力の実力を測る手段として、資格試験を活用してみましょう。

まとめ

資格試験は合格することだけが目的です。

もちろん不合格よりは合格のほうがいいのは当然。

だからといって、試験対策だけに注力するのはいかがなものかと思います。

ビジネスの場面ではふさわしい表現でも、友人同士の会話ではかたすぎることがあります。

試験ででるのはだいたいどちらかだけの状況のことが多いです。

この部分だけを試験対策として勉強しても、他の状況ではまったく理解できない表現が使われるかもしれません。

その意味で、一つの試験だけにこだわるのはよろしくないと思うのです。

TOEICは合否のテストではなく、どのくらいの知識を得ているかを得点で示すテストです。

継続して勉強を続けていけば、ある程度の点数は安定してとれるでしょう。

でも、それはTOEICの場面だけの英語力です。

ぜひ、他の同レベルの英検の試験を受けて、合格するか確認してみましょう。

かならず英語力の強化につながるはずです。

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